CB400SFがある風景 #9

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秋の柔らかな風がススキを揺らし、穂がそよそよと踊る小道。ユウタはホンダのCB400SFをゆっくりとその道端に停め、ススキが風に揺れる様子を眺めながら一息ついた。空には分厚い雲が垂れこめており、青空と曇り空が入り混じる複雑な天気だったが、それがむしろこの場所に独特の雰囲気を与えていた。

彼は少し前に手に入れたソニーα7IVを取り出し、ズームレンズを装着した。ススキの穂とバイク、そして背景に広がる景色を捉えたいと思っていた。特にこの揺れる穂の動きが美しく、太陽が時折顔を出すと、ススキが一瞬の間だけ黄金色に輝く。その光景は、風が時間を運んでいるかのように感じられた。

ユウタはバイクを眺めながら、エンジンを切るときに聞こえていたマフラーの残響を思い出した。その音は、彼にとって日常の一部でありながら、特別な感覚を呼び覚ましてくれる。「この場所でのひとときは、写真だけじゃなく、音や風も一緒に覚えておきたい」と彼は思った。

カメラのファインダーを覗き、ススキの奥に見えるバイクをフレームに収めた瞬間、雲の切れ間から日差しが差し込んだ。その瞬間を逃さずにシャッターを押す。風の中に佇むバイクと、ススキがまるでこの日の気まぐれな天気に寄り添っているような、そんな絵が浮かび上がった。

しばらくその場に立ち尽くし、風の音とススキのささやきに耳を傾けていたユウタは、午後からの天気の崩れを感じながらも、この短い秋の朝の静けさを心に刻み込んだ。そしてバイクに再び跨がると、マフラーの低音が秋の空気を震わせ、再び道へと出発する準備を整えた。

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何時かの一曲
Aerosmith - Cryin'

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