CB400SFがある風景 #10

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ユウタは秋の爽やかな日差しの下、ホンダのCB400SFにまたがり、久しぶりに鎌倉へ向かう計画を立てていた。目的は、江ノ電と愛車のツーショットをカメラに収めること。新しいソニーα7IVと50mm f1.8のレンズを使って撮影するのを楽しみにしていた。

しかし、期待は渋滞の現実に打ち砕かれた。観光客で賑わう鎌倉への道は、どこもかしこも車で溢れ返り、彼は進むにつれて焦りと疲れを感じ始めた。ついに、ユウタはバイクを停めて深呼吸をし、今日の目的地を変更する決断をした。目的を失ったが、その代わりに自由が広がる感覚があり、彼はバイクで再び走り始めた。

帰り道、ふと高速道路の高架下を通りかかった。高架の影が道路に長く伸び、静けさと薄暗さがどこか幻想的な雰囲気を醸し出していた。ユウタはその場所に魅力を感じ、バイクを止めて写真を撮ることにした。日差しは高架の隙間からわずかに差し込み、冷たいコンクリートの上に斜めの光線を作り出していた。

彼はα7IVを手に取り、50mmの単焦点レンズでバイクのディテールを捉えるように構図を決めた。CB400SFのクロームのマフラーが光を反射し、艶やかなボディラインが際立つ。ユウタはシャッターを切り、その瞬間を写真に収めた。シャッター音が響くと同時に、静かな高架下にエンジンの余韻が残り、独特の雰囲気を作り出していた。

鎌倉の写真は撮れなかったが、ユウタは満足感を感じていた。帰り道、山方面のワインディングロードを走りながら、秋の風を感じてエンジン音を楽しむ。その瞬間、彼は海沿いでは得られない、山道の楽しさを再確認した。自由にカーブを切りながら、次回のライドの計画を頭に描いていた。江ノ電との写真は次の機会に――。彼の冒険は、いつでも続いていくのだ。

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