CB400SFがある風景 #5


夏の終わり、しかしまだ厳しい残暑が続く日。アスファルトは照りつける太陽に焼かれ、道路はまるで熱気の海のようだった。ユウタは愛車のホンダCB400SFにまたがり、無理やり吹きつける暑い風を感じながら、高速道路の下を走っていた。昼過ぎの街は、日陰を求めるかのように静まり返っていた。

「暑すぎるな…」ユウタは思わず独り言をつぶやいた。猛暑の中、走り続けていると、エンジンから伝わる熱さがより一層身体に響いてくる。バイクに乗ることが大好きな彼も、この暑さには少々閉口していた。

しばらく走ると、ユウタは高速道路の高架下にさしかかる。頭上に広がるコンクリートの橋が、強烈な太陽からほんの一瞬だけ彼を守ってくれる。高架の下に入った瞬間、気温がわずかに下がり、涼しさを感じることができた。ユウタは「ここで一休みしよう」と思い、バイクを路肩に停めた。

エンジンを切り、ヘルメットを脱ぐと、冷たい風が顔に当たるのが心地よかった。少し休みながら、高架の陰に身を寄せると、ユウタは自分の周りを見渡した。静かで人通りも少ないその場所には、通り過ぎる車の音が遠くに響いているだけだった。しばらくすると、大きなトラックがゴォッと音を立てて目の前を通り過ぎ、砂ぼこりが舞い上がった。

「こんな場所でトラックの運転手も大変だな…」と、ユウタはぼんやりとトラックの背中を見送りながら思った。仕事で走るトラックの運転手たちに比べれば、彼のツーリングは自由気ままなものだ。けれども、バイクに乗っていると、どこか道路を共有する者として、そんな彼らに対して親近感を覚える。

ユウタは冷たいペットボトルの水を飲みながら、エンジンの余熱が冷めるのを待っていた。ふと見上げると、高架の上では高速道路を走る車たちが、遠くで見えない地点へと消えていく。彼もまた、この猛暑の下で目的地も特に決めずに走っていた。風を感じ、気の向くままに進むことが、ユウタにとっての自由であり、バイクを乗る理由でもあった。

やがて、ユウタはバイクに跨り、再びエンジンをかけた。CB400SFのエンジン音が耳に心地よく響く。バイクに乗ることの楽しさが、暑さを忘れさせてくれる瞬間だった。高架下を抜け、再び太陽の下へと戻ると、照りつける日差しが再び彼の体に降り注いだが、もう気にならなかった。

「残暑も悪くないな」とユウタは思いながら、アクセルを軽くひねった。バイクは軽快に走り出し、再び風を切って進む。彼の目には、広がる道と、これから訪れる秋の気配がほんの少しだけ見え始めていた。猛暑の残り火がまだ残るこの日、ユウタは自由な風と共に、どこまでも走り続ける気持ちでいっぱいだった。

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Van Halen - Big Fat Money

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